少年の心をもう一度

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十九話【207号室】

朝を迎えるなり、一行は支度を簡単に済ませると目的地である隣町へ早々に向かった。 訪問先の学校は、魔法学校の最難関であるダラ魔法学校の関連校ではあるのだが、主に私生活に活用できる魔法を教えており、学費さえ払えれば誰でも入学できるため難易度はそれほど高くない。 学費とはいっても決して高いわけでもなく、教材費くらいのもので気軽に学べる場であり、ダラの慈善事業的な意味合いがあるようだ。ラナナ曰く、国からも […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十八話【落ち込んだ心にクッキーを】

静かな夜の宿の部屋。湖張は窓の近くの椅子に腰を掛け、ぼんやりと外を見つめている。ラナナはベッドに腰を掛け、膝の上で猫のように丸くなっているユカリをぼんやり見ながら撫でている。二人とも何かを話す事もなく、ただただ静かな時間が過ぎていく。 「戻ったぞ」 レドベージュがゆっくり扉を開けて入ってくる。そして抱えていた紙袋をテーブルの上に置くなり、中身を取り出す。数種類のクッキーだ。 「夕飯もあまり入らなか […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十七話【立ち寄った村の跡】

日が明けた早朝、湖張はマスターに宿と食事の礼を言う事に合わせて、兄弟子宛に伝言をお願いした。内容はいたってシンプルで「さっさと村に帰って芭蕉心拳を継ぐように」のみであった。マスターからは「それだけかい?」と拍子抜けをされながら聞き返えされるが、特に付け足す事はしなかった。 そして次の目的地に向かうために酒場を後にしようとしたところで、マスターから呼び止められる。 何かと思い振り返ると少し神妙な面持 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十六話【兄弟子について】

「もう食べられません・・・」 テーブルに突っ伏すラナナ。弱々しく声を絞り出す。 夜も更け、今はマスターの好意で用意してもらった宿の部屋で寝るだけの状態になっている。 「流石に料理を出しすぎだよね。お礼しすぎ」 湖張も椅子の背もたれに寄り掛かりぐったりしている。 イガザンを倒した後は、まさにお祭り騒ぎになっていた。 「いつぞやの宴会好きな村を思い出しますね」 次々に出される食事に翻弄された事はかつて […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十五話【イガザン退治】

酒場を出て数件進むと人だかりが視界に入る。多くの人が集まっているようだ。 そして人々の頭上を越えた先に巨大な白い魔物の頭部が確認できる。 特徴的にイガザンである。 「あれがイガザン!?」 立ち止まりラナナに確認を取る湖張。頷くラナナ。 「はい、間違いありません!それにしても人が集まり過ぎていますね」 「・・・やりづらいなぁ」 湖張たちから見て右側は海、左側は飲食店が並ぶ通りだったのだが、 道には大 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十四話【兄弟子の事情】

酒場の扉を勢いよく開ける湖張。相変わらず顔は怖い。そしてカウンターにてグラスを拭いていたマスターと思わしき男性を見つけるなり早歩きで近づく。 湖張の姿に気が付き何事かと驚いた表情で様子を窺い続ける男性。中年で頭髪が寂しいが顎髭は健在である。湖張がカウンターに手をつくと、勢いが止まり切らずにバンっと音が響く。 「アディットはどこ!?」 表情を緩めずに問いかける湖張。するとマスターからは驚きの表情は消 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十三話【船が着いた港町】

穏やかな海が続き、航海は予定通り目的地の港に到着することが出来た。 船旅が終わる事を少し寂しく思う湖張ではあったが、 今度は船の上から見る活気あふれる港町に心が躍り始める。 背伸びをしながらゆっくりと下船をするラナナに「早く早く!」と急かす姿を微笑ましく見守るレドベージュ。ラナナは苦笑いで「その役、今日は逆なのですね」とつぶやいた後に、足を速めて湖張に追いつく。 「話には聞いていたけれども、凄いね […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十二話【船の上で】

眩しい日差し、独特の匂いを運ぶ潮風、そして見渡す限り広がる海。 湖張は静かな甲板に設置されている横長の椅子に腰を掛けて、飽きることなく海を見つめている。 三人はタウンの家を発った後、ゼンの言う通り南下し、そして船に乗った。 今はその航海の途中である。 ゼンが渡してくれたチケットは単なる乗船だけではなく、4人用の個室の使用権までついていた。またそれなりの効力があるサインもされていたようで優先的に乗船 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十一話【タウンが見つけたもの】

「ごめん、待たせちゃったよね」 湖張たちが食事をしている最中に姿を現すゼン。そろそろ食べ終わりといったタイミングであった。 この日は何気ない会話をしつつの食事であったが昨夜と違い酒は入っていなかった。そのせいか少し落ちついてはいた。 「おつかれさん。まあ待ってはいたが食事をしていたんだ、待ちくたびれてはいないぜ」 タウンがそう声をかけると、彼の隣に座るゼン。そしてチウルが立ち上がり話しかける。 「 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十話【託された赤いペンダント】

ハルザートと挨拶を交わした後、湖張とラナナは街に出かけていた。今まで訪れた町や村とはわけが違い、人も店も建物も何処まで続くのかというくらいに並んでいる。 昨夜、タウンから朝食の誘いがあったのだが、ラナナは折角なので有名な軽食を出してくれる店が近いのでそこに行きたいと伝える。 甘い果実のソースがかかったパンとサラダ、絶妙な香りをもつお茶を楽しんだ後は、大きな噴水がある広場、記念碑、見世物小屋、そして […]

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